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証券経済研究 第98号(2017年6月)

非伝統的金融政策—日本銀行と欧州中央銀行を中心に—

春井久志(中央銀行研究所代表・当研究所客員研究員)

〔要 旨〕
 黒田日本銀行総裁によって「量的・質的金融緩和政策(QQE)」が2013年4月に導入されて以来,5年目に入る。当初の「2年で2%の『物価安定目標』を達成する」という公約はいまだに果たされていない。毎月60~80兆円の国債購入を続ける日本銀行(BoJ)の非伝統的金融政策により日銀が供給するマネタリーベースは2012年末の約100兆円強から2016年末には約460兆円に達した。それにもかかわらず,直近の消費者物価指数(コアCPI)はわずか+0.2%にとどまっている。一般に,中央銀行の目的は通貨価値の安定と金融システムの安定的維持の2つであるとされる。前者の物価安定を達成する政策手段が中央銀行のマクロ金融政策である。最初に,日本銀行の伝統的金融政策を概観し,次にゼロ金利政策などの非伝統的金融政策を考察する。次に,日本銀行よりも早くマイナス金利を導入し,量的緩和策にも踏み込んだ欧州中央銀行(ECB)の非伝統的金融政策を検証する。ECBは,BoJとは対照的に,2017年4月から毎月の国債等の購入額を削減し始めた。それではなぜ,BoJのQQEが企業の設備投資や家計の消費支出を刺激して,経済成長を促進しなかったのであろうか。ケインズの投資誘因(資本の限界効率,市場利子率およびアニマル・スピリット)に基礎を置く「ひもの理論」を用いてその謎を解明する。この際に,供給の弾力性が低く,主として利子率や期待で資産価格が決定される「資産市場」と供給の弾力性が高く,主として生産費で生産物価格が決定される「生産物市場」との峻別が重要である。最後に,経済成長率を押し上げる3つの要素(雇用量の増加,資本ストックの追加,技術革新・進歩)の重要性が指摘される。

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