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出版物・研究成果等

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株式投資収益率 2011年

公益財団法人 日本証券経済研究所 編
ISBN978-4-89032-471-2
2012年5月発行
CD-ROM(Excel版)
本体(税別)8,000円 
購入

収録内容

CD-ROMには、以下のものが収録されています。

  1. 対象企業:東京証券取引所株式市場第一部および第二部上場全企業。
  2. 対象期間: 第一部は1952年1月から2011年12月まで。
    第二部は1974年10月から2011年12月まで。
  3. 計算結果
    (1) 東証一部および二部の市場収益率(月間・年間)
    (2) 東証一部および二部の株価指数
    (3) 東証一部および二部の投資年別市場収益率(加重平均および単純平均)
    (4) 東証一部および二部別の産業別収益率(月間・年間,28分類)
    (5) 銘柄別収益率(月間・年間)
     2011年中上場廃止会社の収益率(月間・年間)
    (6) 銘柄別の投資期間別収益率(1,3,5,10年)

概 要

2011年株式投資収益率の概要

株式投資収益率とは、株式投資から得られる収益の投資額に対する比率である。収益には配当や値上がり益(値下がり損)の他に、株主割当増資によって得られる利益などが含まれる。株主優待などの利益は含まれていない。また、税金、手数料などのコストは考慮されていない。年間収益率は、前年の平均株価で買い、当年の平均株価で売ったものとして計算されている。月間収益率は前月末に買い当月末に売ったという前提で計算している。

(1)東証第一部の年間収益率は-2.4%(加重平均)

2011年の東証第一部上場銘柄の年間収益率は加重平均で-2.4%となった(表1)。その一方で、単純平均は2.9%となり、前年に引き続きプラスの年間収益率を確保している。 2011年の東証第一部の収益率を月ごとに見てみると、年初こそ前年末からの好調さを引き継いだ相場だったものの、東日本大震災が発生した3月を境として、年末まで低調なパフォーマンスが続いたことがわかる。第一部で最も月間収益率が高かったのは2月(4.5%)、最も低かったのは9月(-8.0%)であった。 2011年の株式市場は、金融危機からの回復相場を継続して3月上旬までは好調であった。しかしながら、3月11日に発生した大震災は原発事故を誘発し、急激な円高と合わせて3月半ばの相場を暴落させた。日銀による金融緩和と円売り協調介入の実施後は冷静さを取り戻し、5月には日経平均で1万円を回復している。米国債格下げショックと欧州債務不安が深刻化した8月は、3月を超える下落となった。11月は、欧州債務不安がユーロ危機にまで進展し、また国内ではオリンパス等の企業不祥事が露呈したことが相場の足を引っ張った。年末になり、相場は回復傾向を見せている。(「加重平均収益率」および「単純平均収益率」については「解説」を参照のこと。)

(2)長期投資の収益率(第一部、加重平均)

一般的な家計など、銘柄選別に関する専門技能を必ずしも有していない投資家が株式投資をする場合、十分にリスクが分散されたポートフォリオに対して長期継続的に投資を行うことは、有効な投資手法の1つであると言われている。しかしながら、90年代のバブル崩壊と近年の金融危機などを経験し、このような投資手法に対する評価は必ずしも高くないように見える。ここでは、長期投資の収益率を再確認してみよう。 東証第一部をポートフォリオの対象に、やや極端な例として、バブル経済のピークと金融危機の発生を含んだ投資期間を見てみよう。89年の平均株価で投資を開始し2011年まで(22年間)この投資を継続した場合、年間収益率は平均で-1.5%にすぎない。マイナスの収益率であった以上、この期間の投資が有効であったとは言えない。しかしながら、より長期の投資期間を想定し、例えば投資期間を30年間(81年から2011年)にのばせば、年間収益率は平均で5.0%まで増加する。過去の記録を使った計算からは、例えば、若年勤労世代による退職後生活への備えなど、長期間の資産運用を想定した場合、多くの経済的困難を考慮してもなお、十分に分散された株式ポートフォリオに対して継続的に投資を続けるメリットが消えたとは言えない(表2)。

(3)東証第二部の年間収益率は7.1%(加重平均)

東証第二部上場銘柄の年間収益率(加重平均)は7.1%となり、前年に引き続いてプラスの収益率となった。東証第二部の単純平均も同じく7.1%を記録している。月ごとに見ると、第二部で最も月間収益率が高かったのは2月(4.6%)、最も低かったのは8月(-4.1%)であった(表3)。

(4)配当利回りは2.05%(第一部)、2.18%(第二部)

株主への還元として配当利回りを見てみよう。東証第一部上場銘柄の平均配当利回りは2.05%となり(10年は1.89%)、2000年以降の上昇傾向を維持している(表1)。 東日本大震災などの影響で企業業績は低迷したが、一部の企業では積極的な増配が見られた。配当利回りが算出された1,661銘柄中で127銘柄が無配であり、10年(1,658銘柄中166銘柄が無配)よりも無配企業の割合は低下した。東証第二部上場銘柄の平均配当利回りは10年の2.21%から2.18%へと減少した(表3)。しかしながら、東証第一部と同様に無配銘柄の割合は低下している(400銘柄中で78銘柄)。 ちなみに、2011年の預金金利(日銀金融市況、定期預金の預入期間別平均金利)は、1年以上2年未満で0.083%から0.102%、5年以上6年未満で0.158%から0.364%、10年超で0.717%から1.107%(共に1千万円以上)、新発10年物国債利回りは0.940%(11月)から1.350%(2月)の間で推移している。

(5)第一部は「ゴム製品」、第二部は「ガラス・土石製品」(産業別、28分類)

2011年の産業別平均投資収益率は、東証第一部で14業種がプラスとなった(表4)。もっとも収益率が高かったのは「ゴム製品」の14.9%であり、「石油・石炭製品」の13.4%が続いた。最も低い年間収益率となったのは「電気・ガス業」の-32.8%であった。 東証第一部の各産業を市場収益率と相対的に比較してみると、28業種のうち16業種で市場収益率である-2.4%(上記参照)を上回った。逆に、市場収益率を下回った業種のうちで、「電気・ガス業」・「海運業」など4業種が市場収益率を10%以上下回っている。相対比較を09年から2011年の3年間とすると、「ゴム製品」・「機械」など10業種が当該年の市場収益率を常に上回っていた。一方で、「海運業」など5業種の収益率は過去3年間にわたり市場収益率を上回っていない。 東証第二部では、20業種でプラスの年間収益率となった(鉱業は該当なし)。ただし、「水産・農林業」と「空運業」は1銘柄のみである。東証第二部の産業を市場年間収益率と相対的に比較してみると、2011年の市場年間収益率である7.1%を上回ったのは「ガラス・土石製品」を筆頭に12業種あった。

(6)年間収益率が100%以上は10銘柄

個別銘柄別にみると、東証第一部と第二部を合わせた2,040銘柄(上場廃止銘柄、上場1年未満銘柄を除く)のうち、940銘柄の年間収益率がマイナスであった(10年は969銘柄がマイナス)。逆に年間収益率が100%以上となったのは10銘柄で、10年の12銘柄から減少した(表5)。

解  説

Ⅰ 収益率計算の対象と期間

〈対  象〉
東京証券取引所上場株式全銘柄(第一部および第二部)。

〈期  間〉
第一部……昭和27年(1952年)1月から平成23年(2011年)12月まで。
第二部……昭和49年(1974年)10月から平成23年(2011年)12月まで。

Ⅱ データの説明

〈個別銘柄〉

(1) 月間収益率 前月末に買い当月末に売った場合の投資収益率,月率。現金配当および株配・株主割当増資による収益を含む。

(2) 年間収益率 前年各月の平均株価で買い当年各月の平均株価で売った場合の投資収益率,年率。月間と同様,現金配当および株配・株主割当増資による収益を含む。

(3) 配当利回り 投資金額に対する現金配当の割合。割当増資による増配分も含まれる。 配当依存率=配当利回り/年間収益率。

(4) 投資期間別収益率 たとえば,投資期間5年の収益率は,5年前の平均株価で買って,当年の平均株価で売った場合の年あたり複利収益率。投資期間1,3,5,10年のみについて計算されている。ただし,対象期間中上場されているものに限って計算。(2011年基準)

〈市  場〉

(1) 月間市場収益率 全銘柄の月間収益率の加重平均。ウエイトは前月末の株式時価総額。一部,二部それぞれについて算出。

(2) 年間市場収益率 全銘柄の年間収益率の加重平均。ウエイトは前年末の株式時価総額。

(3) 市場配当利回り 全銘柄の配当利回りの加重平均。ウエイトは,前年末の株式時価総額。

(4) 投資期間別市場収益率

1) 加重平均収益率(マーケット・ポートフォリオの収益率)
全銘柄の加重平均収益率。ただし,毎年各銘柄への投資額がそのときの時価総額の比率に等しくなるように資金の再配分(買いかえ)を行ったときの収益率。すなわち,マーケット・ポートフォリオを維持するように組みかえを行ったときの収益率。

2) 単純平均収益率 毎年,各銘柄への投資ウエイトが等しくなるように,資金の再配分を行った場合の収益率。

(5) jsri株価指数

全銘柄の資産倍率の加重平均値。jsri株価指数の各月の増加率は,月間市場収益率に等しい。買いかえ型(ただし毎月)加重の投資戦略をとった場合の投資価値の倍率。 jsri株価指数は,東証株価指数に配当落ち修正を施したものとほぼ等しい。第一部は1951年12月28日=1,第二部は1974年9月30日=1。

〈産  業〉

市場収益率とまったく同様に計算されている。違っているのは集計の範囲のみである。

公益財団法人日本証券経済研究所は、株式市場の記録とその保持を目的として株式投資収益率を計測しております。
弊所が使用する独自の計算式は、実際の株式投資を用いた資産運用手法への適用を考慮したものではありません。(使用計算式は、出版書籍の「解説」をご覧下さい。)
弊所が計測した株式投資収益率の結果が投資の勧誘等に用いられている旨のご連絡を受けておりますが、弊所はあくまでも過去の計測記録として公開しており、投資勧誘等の営利的行為への使用を目的としてはおらず、また、許可もしていません。

 

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