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第102号(2018年6月) 株式市場研究会特集号(下)

国内機関投資家の日本株への資産配分変動とその非合理性

岩澤誠一郎(名古屋商科大学大学院マネジメント研究科教授)

〔要 旨〕

 QUICK社が株式市場関係者を対象に毎月行っているサーベイ調査を活用し,国内の機関投資家による日本株への資産配分の変動を分析した。我々の発見は以下のとおりである。第一に,国内機関投資家の日本株への資産配分は「合理的期待」モデルと整合的なものとは言えない。第二に,彼らによる日本株への資産配分は,直近の情報に対する過剰反応の傾向がみられる。第三に,彼らは日本株への資産配分に当たり,直近過去(12ヵ月)の株価変動,景気・企業業績,内部市場・市場心理に関する市場の判断に強く依拠しており,特に,直近過去の株価変動に対しては過剰反応する傾向がある。一方我々は,同調査に示される金利,政治・外交,海外株式・債券市場に関する市場の判断が日本株の近い将来のリターンを予想する能力を持つことを示したが,国内機関投資家が日本株への資産配分を決定するに当たり,これらの情報を十分に活用しているとの証拠を得ることはできなかった。

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