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第111号(2020年9月)

中国の地方債市場の新展開

王君(青山学院大学大学院博士後期課程)

〔要 旨〕

 本稿の課題は,リーマンショック後に発行が再開されて以降,質量ともに急速に変貌する中国地方債市場の現状と将来を分析するところにあるが,この過程でもっとも重要な役割を演じているのは専項債券という新種の債券の導入とこれを契機とする市場改革の動きである。同債は米国のレベニュー債に極めて近い性格を有し,近年の地方政府による起債の中心となしている。しかも起債にさいして,格付け制度の充実,マーケットメーカー制の実施など市場を重視する制度や慣行が導入された。とくに専項債券のマーケットメーカーとしてBNPパリバ銀行,ドイチェバンクの外資系2行の参入を認めたことは,債券の指標性を高め流通取引を活発化させることによって市場の魅力を高め,国外投資家の参加,ひいては市場の国際化を促すと期待されている。それはまた,市場関係者のいうように,将来的には中国債券市場そのもののさらなる変革と発展の一里塚でもある。

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