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第120号(2022年12月)

米国株式オプション市場の現状

志馬祥紀(帝塚山大学経済経営学部教授・当研究所客員研究員)

〔要 旨〕

 本稿では,株式オプションを中心とする,米国のオプション取引所市場について説明する。
 米国のオプション市場は,株式市場と並び変化の激しい市場である。市場間競争の進展や情報通信技術の発達により,多様な取引手法が併存し,その構造は複雑化している。
 米国における株式オプション取引の歴史は比較的浅く,1973年にCBOE(シカゴ・ボード・オプション取引所)が単独で取引を開始したことに始まる。その後,複数の株式取引所がオプション取引を開始し,新設の取引所の参入もあり,現在(2022年9月),株式オプション取引を上場している取引所数は16に達し,今後も増加が見込まれている。
 これらオプション取引所は,4つの資本グループ(及び独立系1か所)に所属しているが,それぞれオプションの取引手法(価格決定方法や手数料体系)は異なっている。
 本稿では,米国の株式オプション市場の取引状況,各取引所における取引制度の概要や特徴,そして複数ある取引手法の中,代表的な取引手法であるマーケットメイカー制度及びメイカー・テイカー制度について説明する。その上で,これら異なる取引制度の併存が,全体としてオプション市場の多様化に貢献していることを述べる。

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