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第121号(2023年3月) ヨーロッパ資本市場研究会特集号

EU銀行同盟における単一破綻処理メカニズムの運用と課題

黒川洋行(関東学院大学経済学部教授)

〔要 旨〕

 EU銀行同盟における銀行破綻処理のスキームは,銀行再建・破綻処理指令(BRRD)および単一破綻処理メカニズム規則(SRMR)を中心として構築されているが,その一般的原理は,破綻処理時に銀行の株主・与信者の損失負担を求めるベイルイン原理である。
 本稿では,EUの破綻処理の制度につき点検した後,代表的な銀行破綻の事例についてケース・スタディを行い,実際のスキームの運用状況について点検した。その結果,BRRDが発効した2015年以降,約半数の事例で,EU法のスキームではなく国内法上の倒産法スキーム下で清算等がなされ,また公的資金が使用されているケースの実態等について明らかにした。そして,現行のSRMの課題として,各国の倒産法スキームの調和化,清算時における流動性のファンディングの必要性について指摘した。

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