1. TOP
  2. 出版物・研究成果等
  3. 定期刊行物
  4. 証券経済研究
  5. 第126号(2024年6月) 株式市場研究会特集号

第126号(2024年6月) 株式市場研究会特集号

サステナビリティ情報の開示と保証のあり方
—ワーキング・グループと公開草案—

吉川真裕(当研究所客員研究員)

〔要 旨〕

 企業のサステナビリティ情報開示基準の策定が主要国で進められており,わが国でも2024年3月26日に金融審議会のサステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループが議論を開始し,サステナビリティ基準委員会によるサステナビリティ情報開示基準の公開草案が3月29日に公表され,7月31日までコメントを募集している。
 公開草案の細目はテクニカルであり,実際に関与している専門家以外には評価できないように思える。ただし,欧米とは異なる基準をわが国が積極的に提唱していくとも考えにくいので,サステナビリティ基準委員会が公開草案で述べているように,グローバル・ベースラインとされるIFRSサステナビリティ開示基準と整合性のあるものとなることが予想される。
 サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループの公開資料で提示されたプライム上場企業のうち時価総額3兆円以上は2027年3月期から,1兆円以上は2028年3月期から(保証を含む),またはプライム上場企業のうち時価総額3兆円以上は2028年3月期から(保証を含む),1兆円以上は2029年3月期から(保証を含む) 始め,先行適用(時価総額1兆円以上)の状況を踏まえて,2030年代に全プライム上場企業へ適用を拡大することが現時点での見通しである。
 欧州が先行し,アメリカが少し遅れて導入する形となるであろうことが予想されるサステナビリティ情報の開示と保証の問題について,両者の経験を踏まえたうえで導入していくというのが無用な混乱を回避するためにも妥当な選択であると考えられる。

  • facebook
  • twitter
  • line

タグ

  • 気候関連財務開示に関するタスクフォース(TCFD)
  • 国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)
  • サステナビリティ基準委員会(SSBJ)
  • サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ
  • サステナビリティ