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第126号(2024年6月) 株式市場研究会特集号

ウォーム・グロウ,外部性,企業価値:
株主厚生最大化とESGファンド

倉澤資成(横浜国立大学名誉教授)
田代一聡(当研究所研究員)

〔要 旨〕

 ESGスコアに対してウォーム・グロウ(warm-grow)や外部性の効用を持つ投資家と,金銭的利益とESGスコアの組み合わせを選択する企業を想定し,均衡においてどのようなESGスコア水準が選ばれるのか,を考察する。先行研究のESG理論モデルで想定されているウォーム・グロウの効用を持つ投資家を想定すると,企業価値を最大化する企業の方が望ましく,株主厚生最大化を目指す企業は経済全体の厚生を損なう可能性が示される。
 さらに純粋な外部性の効用を想定すると,いわゆる協調問題(coordination problem)のため均衡においてESGスコアは0となる(ESGサービスは提供されない)。この問題は,調整の機能を果たすと期待される株主厚生最大化企業やESGファンドの存在によって軽減される。

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