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第126号(2024年6月) 株式市場研究会特集号

GPIFによるESG投資は「ポートフォリオのリスク調整後のリターンの改善効果」を
達成することができるか?

岩澤誠一郎(名古屋商科大学ビジネススクールマネジメント研究科教授)

【訂正のお知らせ】
6月26日に掲載した上記論文に以下のとおり誤りがありました。
ここに謹んで訂正をさせて頂きます。
誤記載によりご迷惑をおかけした関係各位に深くお詫び申し上げます。
なお、掲載されている論文は修正後の内容を反映したものです。
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1.訂正箇所
  47頁、右、上から15行目以降
  (誤)トービンのQが0.06%, PBRが0.1%
  (正)トービンのQが0.06倍, PBRが0.1倍
2.修正箇所
  47頁、右、下から10行目以降
  (旧)だがまず, PBRの改善効果の規模でわかるように, ここで実証されている「β効果」は極めて
     小さい。そして,より重要なのは
  (新)そしてここで示されているPBRの改善効果の規模は小さなものではない。だが重要なのは
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〔要 旨〕

 GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は「ESG指数」に基づく株式投資を行っている。こうした投資は長期的にGPIFのポートフォリオのリスク調整後のリターンを改善することを目的とするとされているが,その効果はESG投資のポートフォリオのリターンが市場全体のリターンを上回ることから生まれる「α効果」と,ESG投資を通じて市場全体のリターンを改善させることから得られる「β効果」とに分解して考えることができる。本稿は,現行のESG指数に基づく投資における「α効果」がマイナスとなる可能性が高いことを論じる。第一に,ESG指数が市場全体の指数に比べ「オーバーウエイト」している「ESG優良銘柄」は,そうした銘柄を保有すること自体から効用を得る投資家の存在によって効率的な水準を上回る水準にまで株価が押し上げられている可能性が高く,その結果現時点においてそうした銘柄の長期期待αがマイナスになっていると考えられる。第二に,ESG指数を構成する指数会社がα獲得の源泉になるような情報分析面での優位性を継続的に有するとは考え難い。一方で,GPIFによるESG投資の「β効果」についてはその効果についての不確実性が高く,負である蓋然性の高い「α効果」を打ち消して余りあるほどの効果が得られるとの議論を想定しがたい。以上より,GPIFによる現行のESG指数に基づく株式投資には再考の余地があると考える。

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