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第129号(2025年3月) テクノロジーと金融革新に関する研究会特集号

アメリカSECのエンフォースメントによる暗号資産規制

大崎貞和(野村総合研究所未来創発センター主席研究員・東京大学客員教授)

〔要 旨〕

 アメリカのSECは,2017年以降,ハウイ基準と呼ばれる判例法理を援用しながら,新たなデジタル・トークンを発行して資金を集めるICOを無登録の証券公募として摘発するなど,積極的な暗号資産規制に乗り出した。当初のSECの姿勢は,詐欺的な事案には厳しく対処する一方,一定の合理性を有する資金集めには民事制裁金を課さないなど,柔軟性を感じさせるものだった。しかし,2019年以降,暗号資産業界を代表する著名企業によるICOが次々に摘発の対象となり,暗号資産のインサイダー取引やステーキング・サービス,NFT発行といった新しい事象へも規制の網が拡げられた。こうしたSECの暗号資産規制は,経済活動の予測可能性を低下させる,不当な「エンフォースメントによる規制」だとして,暗号資産業界の反発とSEC内部を含む各方面からの批判を呼ぶこととなった。エンフォースメントによる規制には,正式な規則制定プロセスでは不可欠なパブリック・コメント募集が行われずビジネスの現場の声が反映されないことなど,様々な問題点が伴う。最近では,SECのエンフォースメントによる暗号資産規制は,政治(立法)と司法の両面から,変化を迫られることになっている。

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