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第129号(2025年3月) テクノロジーと金融革新に関する研究会特集号

顧客のリテラシーに応じた証券取引規制の現状とあり方
—テクノロジーの進展による個人投資家による証券取引の拡大を踏まえて—

有吉尚哉(西村あさひ法律事務所・外国法共同事業パートナー弁護士)

〔要 旨〕

 近年,新NISA制度の開始による投資運用への関心の高まりや,金融分野でのテクノロジーの活用の進展などにより,知識・経験が十分ではない者を含む個人投資家が金融取引に参加する機会が増えている。金融経済教育推進機構が稼働し始めるなど一般的な金融リテラシーの向上のための取組みも進められているが,同時に,金融規制による顧客・投資家保護の必要性も高まっている。もっとも,顧客・投資家保護のための規制強化一辺倒では,規制コストを増加させるとともに,相応の知識・経験を有する個人投資家の投資機会を制限することになりかねない。そのため,個人投資家を保護するための金融規制を整備していくにあたっては,規制コストや取引・サービスの利便性の観点にも配慮した制度設計が求められる。この点,現行の金融規制の中には,個人投資家の属性に応じて柔軟化が図られている規制や,金融事業者に顧客属性を踏まえた行為を求める規制もある。今後,取引実態に即した金融規制を設計していくためには,金融に関する知識・経験などのリテラシーの要素に応じて規制を適用する発想を強めていくことも検討されるべきである。また,その時々の状況に応じて柔軟に規制の見直しを図っていくことも重要であろう。

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