第129号(2025年3月) テクノロジーと金融革新に関する研究会特集号
暗号資産交換業に関する規制の将来展望
加藤貴仁(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
- 〔要 旨〕
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日本において暗号資産は主に資金決済に関する法律(以下,「資金決済法」という。)と金融商品取引法(以下,「金商法」という。)によって規制されている。暗号資産に関する規制における資金決済法と金商法の役割分担は,「ICOの性格に応じて,投資商品の販売と認められるものについては投資に関する金融規制を,支払・決済手段の販売と認められるものについては決済に関する規制を,それぞれ参考としながら,必要な対応を行うことが適当と考えられる。」との考え方に基づく。近年,暗号資産の金融化と呼ばれる現象が急速に進展しているため,現行法が依拠する資金決済法と金商法の役割分担の見直しが必要となっているように思われる。暗号資産の金融化とは,これまで伝統的な金融商品を使って提供されていた様々なサービスと機能的に同等又は類似のサービスが暗号資産を使って提供される現象を指す。暗号資産の金融化を踏まえて資金決済法と金商法の役割分担を見直す場合,①暗号資産に関する取引の中で金商法が適用される範囲を拡大する,②資金決済法に基づく暗号資産交換業の規制を見直す,の2つが選択肢となる。本稿は暗号資産交換業に関する規制について,その意義とこれまでの展開を確認した上で,暗号資産の金融化への対応の観点から幾つかの課題を提示することを試みる。