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第17号(1999年1月)

社債受託制度の歴史的沿革と役割の変化

松尾順介(大阪研究所主任研究員)

〔要 旨〕

 従来の国内普通社債市場は,「限界的資金配分市場」とされ,銀行融資の補完的な位 置づけに置かれており,80年代に金融自由化が進展する中でも,ほとんど改革がなされず,極めて規制的な市場であったが,その規制の中心的な役割を果 たしてきたのが社債受託制度であった。すなわち,この社債受託制度のもとで,社債発行は受託銀行によってマクロ的かつミクロ的に規制され,銀行融資の補完的役割を与えられていた。とくに,この役割は高度成長期において典型的に表れていたといえるが,社債受託制度自体は歴史的に形成されてきたものであり,それぞれの歴史的段階で異なる役割を果 たしてきたといえる。したがって,本稿では社債受託制度の導入から高度成長期までの歴史的沿革をたどりながら,その役割を考察し,最後に社債受託制度が低成長期にはいって徐々にその役割を終えたにもかかわらず,この制度が維持され,受託銀行の既得権益化したことを示唆する。

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