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第22号(1999年11月) 機関投資家とコーポレート・ガバナンス

アメリカ投資信託の制度的基盤の形成
―1940年投資会社法の意義と限界―

三谷進(名城大学助教授)

〔要 旨〕

 両大戦間期のアメリカ投資信託システムにおいては,投資家に対して投資信託のポートフォリオの情報が十分に開示されないままに,一般 的流通から証券流通への継続的な資金の流入が行われ,投資信託システムの自律的な膨張が可能になっていた。このような投資信託と一般 投資家とのあいだの情報の非対称性は,1930年代以降の投資銀行や投資信託に関するアメリカ議会調査のなかで次第に明らかにされていった。そこでは,投資信託をアメリカ信用制度のなかにいかに組み込んでいくかということが問題にされ,その基本的な原理や原則についての議論が展開されていくことになった。特に,議会に設置されたペコラ委員会や証券取引委員会などの調査を通 じて,信用制度および国民経済における投資信託の位置づけがあらためて問い直され,投資信託のもつ証券代位 機構が十分に機能できるような制度の確立が進められていったのである。
 本稿では,このように投資信託の制度的基盤が整備されるなかで結実した1940年投資会社法の分析を通 じて,そこに展開された理念と意義を明らかにする。この投資会社法の成立後,アメリカの投資信託は,貯蓄性資金を着実に吸収し,それを安定的に資本市場へ流入させる基本的な仕組みを制度的に確立することに成功し,世界各国の投資信託のなかで,最大の資産額を達成することができた。このようなアメリカの投資信託の基盤がどのように整備され,その成長を支えた要因がどこにあったのかを十分に検討することがまさに要請されてきているのである。

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