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第24号(2000年3月)

収益性分析序説

森脇彬(東京研究所主任研究員)

〔要 旨〕

 今日,企業という表現はわが国においてひろく用いられているが,必ずしもその意味を充分に承知して使われているかどうかははなはだ疑わしいものといわなけばならない。
 「株式会社とは,誰でも着うる背広の様なものである」といわれることからもわかるように,株式会社であるがゆえに企業であるのではない。企業とは出資された資本に対して利潤(利益)をもたらすことを目的にして事業を営む組織であって,一般 にその法律型態は株式会社である。したがって,企業についての経営分析では,このような企業の本質からまず何よりも利潤(利益)の獲得状態を認識し,評価しなくてはならないのである。
 利潤(利益)は企業の実現すべき成果であるから,その意味において利益(利潤)の獲得は企業の業績ないしは企業業績ということもできるが,これについての経営分析を一般 に収益性分析という。
 収益性分析は企業についての経営分析の中核となるものであるが,意外といってもよいほど収益性とはどういうことであるか,収益性の意味,収益性の本質は必ずしも明確にされていない。そこで本稿ではまず最初に,収益性そのものについて考え,続いて収益性の測定と評価の方法についてもふれることにしたい。

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