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第24号(2000年3月)

インターネットと証券業

佐賀卓雄(東京研究所主任研究員)

〔要 旨〕

 インターネットは,初めてリテール証券取引に利用されてから数年の間にリテール取引全体の約4割を占めるに至った。そればかりではなく,IPOやアドバイス業務といった,当初は応用が難しいと思われていた業務分野にまで拡大され,証券ビジネスのあり方を根本的に変革しつつある。
 店舗や営業マンに頼っていた伝統的な証券会社はチャネル・コンフリクトに悩みつつも,eアドバイスともいわれるビジネス・モデルを構築する方向を模索している。これまでの営業マンを通 したアドバイス・サービスをネット上で提供することにより,総合的なサービスをより一層強化しようという戦略である。
 他方,低価格を武器にシェアを延ばしてきたオンライン業者も,投資家が価格にあまり反応しなくなるにつれ,サービスの充実をめぐる競争へと移行してきた。システムのグレード・アップはもちろん,多彩 な業者との業務提携などの方法によりネット上でリンクを張ることによって,投資家の利便性を高めている。
 インターネットは市場の情報化をもたらすことによって,消費者が価格や様々のサービス情報を容易に比較できる環境を作り出した。そのため,消費者の支持をうるためには顧客ニーズを軸にしたマーケッティング戦略が不可欠になっている。しかも,ソフト業者,ポータル業者,情報ベンダーなど,あらゆるハイテク企業が競争相手として登場してくる可能性が強い。証券業におけるオンライン・ビジネスも同様であり,競争に勝ち抜くためには顧客セグメントの絞り込みと豊富な品揃えが必要になってこよう。

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