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第24号(2000年3月)

中国国有企業の資金調達

裴桂芬(中国河北大学副教授・東京大学客員研究員)

〔要 旨〕

 中国が改革解放により閉鎖的な社会主義計画経済を社会主義市場経済の方向に転換してほぼ20年が経つ。新たな株式会社の設立も増えた。しかしトータルで見た場合にはなお国有企業の資産は全体の社会総資産の半分を越えており,またその国有企業資産の半分以上は数の上では20分の1にも満たない大中型企業によって占められている。国有企業が直面 する問題は,従業員の過剰と債務の過剰に集約される。本稿はこの二つのうち債務の過剰問題とその対応策の面 から,国有企業の資金調達の変遷を歴史的に明らかにし,当面する改革の方向について示唆するものである。
 計画経済の段階(1949-1978)では,投資主体は中央政府であり,存在する企業のほとんどは国有企業,その資金の8割は財政出資金,2割が国内銀行のクレジット融資であった。計画と市場の結合段階(1979-1992)では,地方政府,国内企業,国内外の投資家が重要な主体となり,財政出資金は1割以下に下がった。代わって銀行融資が前面 に出る。市場経済の段階(1993〜)では,さらに投資リスクの制約メカニズムが確立され,国家予算内からの出資金は5%以下に減った。
 この結果として,国有企業の負債率は著しく高まった。企業の平均利潤率を上回る貸出平均利率の下で,この高負債率は企業を破綻させかねない。利益の上がらない企業への膨大な貸出の継続は銀行の不良債権増大となる。中国の不良債権は諸外国の不動産貸出によるそれとは異なり,景気が回復すれば自動的に解消できる性格のものではないのである。破綻に瀕した国有企業を救済するために銀行はさらに貸出を増し,かくして両者の経営は共に不良化の一途を辿る。

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