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第28号(2000年11月) 金融業の融合と金融サービス市場法

金融サービス市場法の成立

小林襄治(専修大学教授・当研究所理事)

〔要 旨〕

 2000年6月にイギリスでは金融サービス市場法が成立した。同法はすべての金融サービスを一元的な監督・規制体制の下におくことを狙った画期的法律である。すでに1997年の提案以来,SIBのFSA(金融サービス機構)への改組などそのための措置が取られてきたが,今回の立法で法的裏付けを得てその動きが一段と加速されると思われる。法律自体は規制機関の再編・統合と新規制機関の権限・業務等を規定するものであり,各種金融機関や金融・証券市場への規制がただちに変化するわけではない。しかし,イギリスの規制当局は,この間にさまざまな文書を発表し,新体制の哲学・理念を表明し,「世界をリードする規制機関」であることを自負している。本稿では改革の背景を探りつつ,新規制体制の特徴を捉え,FSAの主張する規制の哲学・方法を紹介しておこう。ビッグバンが世界に影響を与えたことは周知のことだが,イギリスにおける意図や目的と諸外国におけるそれは異なっている。今度の新規制体制についても同じようなことがいえると思われるが,監督規制の一元化,監督機関のアカウンタビリティのあり方などイギリスのやり方から学べる点も多いと思われる。

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