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第41号(2003年3月) 公社債流通市場改革と国債管理政策

株式投資単位のくくり直しの流動性効果に関する実証分析

外島健嗣(近畿大学非常勤講師)
高屋定美(近畿大学教授)

〔要 旨〕

 株式投資単位の引下げ方法であるくくり直しにより,株式投資金額が下がることから,投資金額の少ない個人投資家の市場参入を促し,投資家層が拡大することが期待されている。さらにそれに伴い,株式の流動性が向上することも期待されている。確かに,くくり直し実施に伴い実施企業の個人株主数は,ほぼ例外なく増加していると報告されている。しかしその一方で,くくり直しにより流動性が向上したかどうかは,それに関する研究が少なく確証はないのが現状である。
 これまでの研究では,くくり直しは流動性向上の要因になるというものがある一方で,流動性向上につながるかどうかについては明確な結論は得られないというものもあり,くくり直しが流動性の向上につながったかどうかについての結論にはばらつきがある。
 そこで本稿では,二つの流動性指標を用い,くくり直しが流動性の向上につながったかどうかに関する実証分析を行った。その結果,くくり直しは流動性の向上効果を十分に発揮しているとはいえない,という結論を導き出した。同時にくくり直しのアナウンスメント効果の分析も行ったが,顕著な効果はみられなかった。
 くくり直しにより個人株主数が増加する一方で,流動性が向上していないという現状を考慮すると,実施企業には単に株主管理費用等のコストが拡大しただけであるし,株式売買委託手数料の増加を期待した証券会社もその思惑が外れたともいえる。流動性を増加させるためには,証券関連税制や証券市場を取り巻く規制の撤廃など,個人投資家にとって魅力のある株式市場の構築が望まれる。

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