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第42号(2003年6月) ユーロ誕生後のヨーロッパ証券業界再編

金融システムの再生と投資信託
―イギリス、アメリカとの比較―

代田純(駒澤大学教授当所客員研究員)

〔要 旨〕

 日本型金融危機とも呼ぶべき現下の状況の本質は,企業金融の資金調達において,金融システムが機能していないことにあろう。大企業では資金余剰が定着したが,中小企業やベンチャーでは資金調達が円滑に進んでいない。したがって,投資信託の役割を評価する場合にも,こうした企業金融のファイナンス面 からの観点が不可欠になろう。
 日本の投資信託残高はMMFや公社債投信が減少しつつも,株式投信では増加している。しかし株式投信残高の伸びは主として,外国債券投信やETF(指数連動型上場投資信託)に起因している。これらは海外投資や持ち合い株式の受け皿に国内余剰資金が向っていることを意味している。私募投信の増加があるにせよ,現状の投資信託が国内企業,特に成長企業のファイナンスに寄与しているとは言い難い。
 日本の投資信託が企業金融においてプレゼンスを高めるためにも,投資信託市場の厚みが必要である。アメリカでは投資信託販売ルートとして,フィナンシャル・アドバイザーや投信スーパー・マーケットのシェアーが高まっている。イギリスでも投資信託販売ルートとして,IFA(独立フィナンシャル・アドバイザー)のシェアーが高まっているほか,郵便局で執行(売買)だけの投信販売がなされている。日本でも投資信託の販売ルートを多様化し,投資信託の市場拡大を通 じることで,企業金融における直接金融化を進めることが必要であろう。

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