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第42号(2003年6月) ユーロ誕生後のヨーロッパ証券業界再編

EU経済通貨統合とフランス政府証券市場
―“Europlace―Paris”戦略の展開とその問題点―

中川辰洋(青山学院大学教授)

〔要 旨〕

 1980年代半ば以降の一連の改革により,いまやヨーロッパを代表する市場へと変貌をとげたフランス政府証券市場ではあるが,それはたんに公債発行・管理の円滑化にとどまらず,ヨーロッパ市場統合,経済通 貨統合(EMU)のプロセスと関連させ柔軟に対応してきた結果であり,国際競争力を高める原動力となった。そして1999年のユーロ圏誕生後,フランスの政府証券はドイツ証券とならんで,「ユーロ圏の政府証券」としての国際的な名声と信頼をより確固たるものとしつつある。本稿では,フランス政府証券市場改革の軌跡たどりつつ,それが実際にヨーロッパの市場統合やEMUのプロセスにどのように関わってきたかを考察するとともに,フランス市場の現状の評価とその問題点を明らかにする。それはまた,ひとりフランスだけでなく,誕生間もないユーロ圏の金融・証券市場の将来の方向性を分析する視点を提供することでもある。

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