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第45号(2004年3月)

ブルーデントマン・ルールと資本形成

磯谷玲(宇都宮大学助教授当所客員研究員)

〔要 旨〕

 ERISAの成立とそれにもとづく規制体系の導入は,アメリカ年金規制における大きな転換点であり,今日に至るまで年金プランの行動に大きな影響を与えてきた。
 本稿では,(1)米議会の公聴会記録にもとづいて,ERISAを必要とした状況,(2))ついでERISAが経済過程全体に与えた影響を,中小企業の資本形成という側面に限定して考察する。(3)さらにこうした影響がERISAの規制体系,具体的にはプルーデントマン・ルールの解釈に与えた影響を考察する。
 受給権の保護とそれを現実化するプログラムの設定は,それ以前の年金規制体系からみれば画期的なものであったが,「権利の保護とその現実化のためのプログラム」というよりは「資産の保護とその現実化のためのプログラム」という性格が強く,このことは年金システムがアメリカ社会において,そのシステムや行動規範意識と両立するよう具体化された結果であると考えられる。

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