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第48号(2004年12月) 情報化時代への適応を模索する株式市場システム

生産性の金融・財務的要因分析
─企業規模間での比較分析─

宮崎浩伸(京都大学大学院博士課程)

〔要 旨〕

 わが国の製造業のGDP成長の要因分析を行なうと,全要素生産性(以下ではTFPと略称)による寄与が大きいことがわかる。この間,わが国の企業を取り巻く金融市場の環境は大きく変化してきたが,このような変化は,企業の生産性に何らかの影響を及ぼしているのであろうか。このような問題意識の下,本稿では,産業間,企業規模間での違いを考慮した資本ストック,技術知識ストックのデータを作成し,また,TFPを計測し,これらを用いて,わが国の生産性と金融・財務面の関係について,企業規模別に,金融自由化の影響を考慮して,比較分析を行った。その結果,以下の点が明らかになった。まず,銀行によるガバナンス機能は,規模の小さい企業ではプラス,規模の大きい企業ではマイナスの影響を及ぼしている。また,資本金の充実による企業経営の安定性が生産性に及ぼすプラスの影響は,金融の自由化以前から,みられることが明らかになった。さらに,80年代から進められた金融の自由化の動きは,銀行からのガバナンス機能を弱め,企業の生産性に対して,マイナスに作用する力を強化すると同時に,資本金の充実による企業経営の安定性が生産性に及ぼすプラスの影響を強化するという変化をもたらしたといえる。その他,研究開発投資の成果である技術知識ストックや国際競争力,国内市場競争力も生産性の上昇に寄与していることが明らかになった。

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