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第50号(2005年6月) EUにおける金融・証券市場統合の進展

イギリス金融サービス機構の規制アプローチ

須藤時仁(当研究所主任研究員)

〔要 旨〕

 わが国では,投資サービス法(仮称)制定への動きが再び活発化している。金融庁は2004年12月に「金融改革プログラム-金融サービス立国への挑戦-」を発表し,今後2年間の重点強化期間に実行すべき改革の一つに投資サービス法の制定を挙げている。具体的には,金融庁の金融審議会金融分科会第一部会において,対象範囲・定義方法,規制内容,集団投資スキーム(ファンド),エンフォースメントの4つの論点について議論されている。
 金融・証券規制を広義で捉えたとき,それは狭義の金融・証券規制(Regulation)と監督(Supervision)とに分けることができよう。前者は,規制体制の在り方や法令・規則体系をどのように整備するかといった問題であり,わが国における投資サービス法議論の焦点も前者が中心である。一方後者は,規制体制および法令・規則体系を前提として,実際にどのような方法,体制で金融・証券市場を監督するかということである。これは前者に劣らず重要な問題であるが,研究蓄積も少なくわが国でもほとんど論じられていない。
 しかし,イギリスではこの監督に関する考え(アプローチ)を明確にしている。金融サービス機構(FSA)は2000年1月にA new regulator for the new millenniumを発表し,その中で「リスクを前提としたアプローチ(risk-based approach)」という新しい概念の規制アプローチを採用することを表明するとともに,規制目的とアプローチとの整合性,アプローチの概要,具体的な問題に対する規制手段の選択と対応などについて説明している。さらに,その後の議論を踏まえてこのアプローチの詳細に関する一連の報告書がFSAから発表されている。本稿では,これら一連の報告書に基づいて,FSAが採用する新しい規制アプローチの枠組みを概説した。

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