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第51号(2005年9月)

韓国のベンチャーキャピタル

金珍奎(大分大学経済学部助教授・南ソウル大学客員教授)

〔要 旨〕

 通貨危機以降,ベンチャー企業の育成を積極的に進めている韓国では,KOSDAQ市場の急拡大とともに,ベンチャーキャピタルが注目を浴びている。本稿ではこの韓国のベンチャーキャピタルを取り上げ,その資金調達や資金運用,そして資金回収を明らかにする。また,ベンチャーキャピタルの問題点についても検討する。
 韓国のベンチャーキャピタル会社は,民間ベンチャーキャピタルの創業投資会社と公的ベンチャーキャピタルとしての性格が強い新技術事業金融社に分けられており,その投資行動にもいくつか相違点がみられる。たとえば,創業投資会社は株式による資金運用が多い反面,新技術事業金融社の本体投資は貸出金による資金運用が未だに多い。また,韓国では政府が大きな役割を果たしている。その一例が投資組合への出資比率であるが,政府の割合が10%〜32%にものぼる。さらに,韓国のベンチャーキャピタルの問題点を検討すると,会社形態をとっている日本のベンチャーキャピタルと共通するところが多い。年金基金の資金流入が少ない点や,ベンチャーキャピタル会社の職員であるベンチャーキャピタリストの問題,また積極的な経営参加を行っていない点がそれである。しかし,ベンチャー企業やベンチャーキャピタルに対する政策的支援の面では,韓国に学ぶべき点があると思われる。

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