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第55号(2006年9月)

上場廃止は誰のためか?
―親会社による上場子会社の完全子会社化にみる株主間利害対立―

志馬祥紀(大阪証券取引所・滋賀大学大学院博士後期課程)

〔要 旨〕

 本研究では,親会社が株式交換を手段として,その上場子会社の全株式を取得する際に発生する,大株主(=親会社)と少数株主(一般投資家)間の利害対立の可能性を分析する。わが国資本市場においては,子会社上場(親会社がその子会社について,経営上影響力を行使しうるだけの株式を保有しつつ,証券取引所に上場する形態)が多くみられ,当該慣行はわが国会社の経営上の特徴の一つとされてきた。しかし最近では,企業グループ内の戦略の再構築等を目的に,上場子会社を完全子会社化する事例が増加している。本研究では,当該株式交換発表時の,親会社および子会社の株価の反応を分析し,その際に株主間で利害対立が発生する可能性を指摘し,その防止策について提言を行う。

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