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第77号(2012年3月) 株式市場を巡る諸問題

新規公開株式の価格変動リスクに関する分析
─中国の新興株式市場を対象とする実証研究─

船岡健太(九州産業大学講師・当研究所客員研究員)

〔要 旨〕

 本稿では,新規株式上場における公開価格決定から売買開始日までの日数が,アンダープライシングに与える影響について,中国の新興株式市場(創業板)を観測対象として分析を行った。中国市場では,先行研究において,新規公開株式の募集から売買開始日までの長さが,アンダープライシングの水準にプラスの影響を与えていることが度々報告されてきた。
 創業板市場を対象とした本稿の実証分析においては,新規公開株式の募集から売買開始日までの日数は,先行研究における主板市場を対象とする数値よりも短縮傾向にあることが示された。また,この日数が公開価格と初値の乖離に与える影響については,先行研究同様に依然として有意な影響が存在するものの,創業板市場のアンダープライシングの水準は先行研究が示す主板市場のものよりも低い。この結果は,創業板市場におけるアンダープライシングの水準が低減したことに対する一因として,募集から売買開始日までの日程の短縮が寄与したことを示すものと考えられる。
 中国における新規公開株式の価格決定および募集方法に関しては,ブックビルディングを機関投資家のみを対象に実施していること等,日本においても参考になる点がいくつか存在する点についても指摘した。

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