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第85号(2014年3月) 情報化に揺れる株式市場における様々な論点

中国創業板市場の新規株式公開におけるブックビルディング参加者がアンダープライシングにおよぼす影響

船岡健太(九州産業大学准教授)
西村友作(対外経済貿易大学副教授)

〔要 旨〕

 ブックビルディング方式は,価格算定能力が高いとされる機関投資家の評価を公開価格の設定に反映させることを意図している。アメリカでは,機関投資家は,情報生産に対する報酬としてアンダープライシングの水準が大きい新規公開株式の割当をアンダーライターから受けていることが報告されている。これまでの先行研究では,機関投資家として一括りに分析が実施されており,証券会社や保険会社といった機関投資家の属性がアンダープライシングに与える影響に関する研究は進展していない状況にある。
 本研究において,中国の深圳証券取引所に開設されているベンチャー企業向け市場である創業板市場において開示されているデータを用いて,ブックビルディングに参加する機関投資家の属性がアンダープライシングにおよぼす影響に関する分析を実施した。
 実証分析においては,保険会社の参加比率がアンダープライシングに対して有意なプラスの影響をおよぼしていることが確認された。この結果は,保険会社は新規公開企業の私的情報に関して他の機関投資家より優位である可能性を示すものである。

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