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第95号(2016年9月)

プライス・オブ・リスク
—機関投資家の性質と負のリスク—リターン関係—

倉澤資成(大阪学院大学特任教授・当研究所客員研究員)
田代一聡(当研究所研究員)

〔要 旨〕

 この論文では負のリスクとリターンの関係が生じうることを示すことを目的としている。高いリターンを得るためには高いリスクが必要となり,低いリスクでは低いリターンしか得ることができない,というリスクとリターンの関係は,ファイナンス理論において誰もが学ぶ基本的原理である。しかし,ファイナンス理論が重視する株式市場において,この関係の成立に疑問が投げかけられている。さらにこのような現象が一時的なものではなく,長期的あるいは定性的な現象として報告されている。このような現象に対して理論的な説明を試みる。
 この論文では,機関投資家のポートフォリオを選択するマネージャーに生じる自然な性質を用いてこの現象の説明を試みる。また,リスクとリターンの関係は期間によって変化が生じる現象も同時に,説明が可能である。他にも,機関投資家間の競争の激化の影響について,興味深い示唆が得られる。

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