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証券経済研究 第105号(2019年3月)
投資家センチメントとイディオシンクラティック・ボラティリティ効果の考察
岩永安浩(三菱UFJ信託銀行(株)ファンドマネージャー)
〔要 旨〕
イディオシンクラティック・ボラティリティが高い銘柄ほどリターンが低いというイディオシンクラティック・ボラティリティ効果が世界各国の株式市場で観測されることが報告されている。イディオシンクラティック・ボラティリティ効果は,理論とは整合しないアノマリーとして学術関係者だけではなく実務家からも注目されている。近年,イディオシンクラティック・ボラティリティ効果がなぜ起こるのかについて研究が盛んに行われている。本稿では,米国の株式市場を対象として投資家センチメントが個別銘柄に及ぼす影響をイディオシンクラティック・ボラティリティ効果の観点から調査した。その結果,イディオシンクラティック・ボラティリティ効果が,投資家センチメントが悪かった後の期間では観測されず,投資家センチメントが良かった後の期間でのみ強く観測されることを確認した。また,イディオシンクラティック・ボラティリティが最も高い銘柄群の価格付けは,投資家センチメントの影響を最も大きく受ける可能性を確認した。本稿の実証結果は,イディオシンクラティック・ボラティリティ効果が投資家センチメントの影響を受けており,予測できる効果である可能性を示唆している。
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