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証券経済研究 第107号(2019年9月)

ブラジルのACE—資本構成,配当政策への影響を中心に—

山田直夫(当研究所主任研究員)

〔要 旨〕
 本稿ではブラジルで導入されているACEという税制に注目し,制度内容を紹介しその特徴を明らかにする。さらにブラジルのACEに関する先行研究を概観しながら,その効果について検討をする。本稿の議論をまとめると以下のようになる。
(1) ブラジルのACEの特徴は,ヨーロッパ諸国のACEではみなし利子は算定するだけで実際には株主に支払われないのに対して,IOEは実際に株主に支払われている点,それからIOEを法人税の課税ベースから控除する点にある。また,IOEを受け取った個人や企業もそれぞれの段階で課税される。
(2) シミュレーションによる分析では負債優遇を緩和する効果が見られるものの,実証研究ではレバレッジを引き上げる効果が確認できる。
(3) 配当政策への影響については,配当を促進する効果が確認できる。
 ブラジル型のACEのわが国への導入は,課税の中立性とわが国の企業の資本構成や配当政策に関する課題を同時に改善する可能性がある。わが国の法人税のあり方を議論するには,ブラジルなどのACE導入国の実態や研究動向を追うとともにわが国を対象とした税制と企業行動に関する研究の蓄積が重要であると思われる。

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