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証券経済研究 第108号(2019年12月)

MSワラントの発行要因と株価リターン

金木健(一橋大学大学院経営管理研究科金融戦略・経営財務プログラム博士課程)
鈴木健嗣(一橋大学大学院経営管理研究科教授・当研究所客員研究員)
頭士奈加子(当研究所研究員)

〔要 旨〕
 本稿では,日本で発行したMSワラントについて,発行の決定要因,発行発表時の株価の変動,発行後の株価パフォーマンスを実証分析している。検証の結果,リスクが高く,収益性が低く,財務の健全性が低い企業が,株価の高いタイミングでMSワラントを発行していることを示唆する結果が得られた。また,MSワラント発行企業は発行後の株価パフォーマンスが悪いことがわかった。こうした結果は,第三者割当で引受ける投資家は,企業の将来性が悪かろうが,行使価額との差額から収益を上げることができるために引受けるという考えと整合的であり,ラスト・リゾート仮説と一致している。
 また,MSワラントがゾンビ企業といった不適切な企業の退出を遅らせ,社会にとって望ましくないという議論と,企業と市場間の情報の非対称性が高く企業の将来性を市場が見抜けない企業に対して資金が供給され,社会にとって望ましいという議論がある。本稿の結果は,不適切な企業の退出を遅らせるという効果が強い可能性を示唆している。しかし,MSワラント発行後に企業価値が改善している企業も少数だが存在している。MSワラントが,情報の非対称性の問題が大きいが有望な投資案件に対し,資金供給する仕組みとなることが望まれる。

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