出版物・研究成果等
証券経済研究 第16号(1998年11月)
投資家の期待はどの程度実現しているか―日経225平均の上昇と下落に関する実証分析―
末本栄美子(QUICK情報本部主任) 松浦克己(横浜市立大学教授)
〔要 旨〕
ファンドマネージャーやストラテジスト,アナリストは様々な情報収集につとめてその分析を行っている。そのような予想は利用可能な情報を最も織り込んで形成されており,他の投資家の指針となっていると考えられる。加えて,ファンドマネージャーは直接自身が運用に携わっている。そうすることで,他の投資家に彼らの予想への信用を与え,より直接的には,自らの投資スタンスやポジションを通 じて市場に影響を与えていると考えられる。
本稿では,運用担当者の形成している期待(予想)が市場で実現しているかどうか,運用担当者の投資行動が市場にどのような影響を与えているのかを実証した。日経225平均株価の上昇/下落という二項データを被説明変数とするプロビット・モデルを用いた分析によって,運用担当者は概ね日経225平均株価の動きを正しく予想しており,投資スタンスやポジションも相当影響を与えていることが確かめられた。
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