出版物・研究成果等
証券経済研究 第25号(2000年5月)
確定拠出型年金の現状と課題
代田純(立命館大学教授)
〔要 旨〕
アメリカの年金基金において大手では確定給付型が中心であるが,民間企業の年金基金では最近まで確定拠出型が増加してきた。しかし確定拠出型年金の資産構成では自社株が中心となっており,局面 によってはかなりの損失が発生してきた。一方,プロバイダーによる投資助言も最近まで禁止してきたため,年金加入者に対する投資教育がかなり重要な課題であった。最近アメリカでも401(k)への見直し気運があり,キャッシュバランスプランなど確定給付型年金が再び注目されている。
一方,日本では既存の企業年金の運用利回りの低下と企業負担の増加,退職給付債務の2000年度からの企業会計における公表などを背景として,98年ごろから日本版401(k)導入という気運が急速に高まった。しかし企業型の確定拠出型年金においても従業員の拠出が非課税では認められないなど,限定されたものとなった。
日本の企業年金の改革には,年金税制の全体像の整理,公的年金と厚生年金基金の代行制度の再検討,雇用政策との関連性の整理などが不可欠と思われる。
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