トップ  >>  出版物・研究成果等 >> 証券経済研究 2002年度 >> 第38号(2002年7月)

出版物・研究成果等

証券経済研究 第38号(2002年7月)

EUの東方拡大と中・東欧の金融・資本市場

鈴木武(ハローフーヅ営業本部付部長)

〔要 旨〕
 EUは現在中・東欧諸国を含む13ヶ国を新たな加盟候補国とし,うちトルコを除く12ヶ国と本格的な加盟交渉を進めている。2000年12月にはEU拡大を前提にしたEU側の機構改革が合意された。2002年末までに加盟交渉は終了し,2004年中に10ヶ国の加盟が実現する見通しである。1989年秋の東欧革命から12年,旧東欧諸国は「欧州復帰」を国家目標に掲げ,政治・社会の民主化,市場経済化に取り組んできた。EU加盟は社会主義から市場経済への体制移行の総仕上げとも言えるものである。加盟条件のうち(1)政治的条件(2)経済的条件はほぼ達成され,現在(3)EU法に基づく社会・経済体制への構造改革を推進している。既存加盟国との経済格差が大きいため改革の中心は持続的成長を果たすための経済各分野の効率的な市場造りにある。中でも金融・資本市場の近代化は国営企業の民営化と並んで緊急の課題である。中・東欧諸国の金融市場は制度的には既にEU並みに整備され,銀行の民営化がほぼ完了,地場・外資系銀行の競争原理が貫徹し,多様な金融サービスが導入されつつあり,今後の発展が期待できる。資本市場は発展の緒が付いたばかりだが,欧州統一証券取引所への参加をにらみ,規制・制度面が整備されつつあり,世界の投資家が注目するエマージング・マーケット(新興市場)となっている。

お探しの出版物が見つからない場合は「出版物検索」ページでキーワードを入力してお探しください。