トップ  >>  出版物・研究成果等 >> 証券経済研究 2002年度 >> 第39号(2002年9月)

出版物・研究成果等

証券経済研究 第39号(2002年9月)

戦前期証券法制の対象と効力(下)

小林和子(当所理事東京研究所主任研究員)

〔要 旨〕
 当研究所証券史資料編纂室で編纂する『日本証券史資料』戦前編第一巻および第二巻が刊行され,戦前期の証券関係法制とその審議録は基本的に揃えられた。これらを包括して,戦前期の証券法制を全体として関連付け,法律の対象と,法律の効力を考えることが本小論の目的である。論文は上・下に分け,上(『証券経済研究』第36号掲載)では取引所法と業者法までを対象にした。下(本論)では基本的には商法規定による株式法,社債法から,証券関係の税法までを見たうえで,章を改め,日本証券取引所法を中心に戦時証券法制の評価を行う。「伝家の宝刀」扱いで一度も発令されず,証券市場に関する諸戦時命令の精神的論拠となったといえる株式価格統制令,戦時法制の側面と平時法制の側面とが不分離であった日本証券取引所法,および外貨社債・地方債を国債に借り換えて凍結した外貨債処理法に共通する「政府が市場の上位にある」思考法は,戦後もなお証券行政の底流にあり,市場が弱体化したときに表面化する性格を持ったと思われる。

お探しの出版物が見つからない場合は「出版物検索」ページでキーワードを入力してお探しください。