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出版物・研究成果等

証券経済研究 第40号(2002年12月)

商法改正と株式投資単位の引下げ

横山淳(大和総研制度調査室課長代理)

〔要 旨〕
 2001年〜2002年の間に4回に渡って行われた商法改正によって,株式に関する制度も大きく変わった。特に,2001年10月1日施行の商法改正では,単元株制度の創設,株式分割等の一株当たり純資産額規制の撤廃など,株式出資単位の大きさに関する規制が大幅に緩和された。これを受けて証券取引所などでも,発行会社に対して株式投資単位の引下げを,一層強く求めている。
 こうした流れの中で,単元引下げを実施する企業が,これまで以上に増加している。株式投資単位を引き下げた企業においては,個人株主数が増加する傾向が認められることから,「個人投資家等が少額でも株式投資を行うことができるよう」にするという商法改正の目的は,一定の成果があったと評価できる。
 また,単元引下げ前後での「売買単元数」及び「価格変動1ティック当たり売買単元数」の変化により,単元引下げが市場の流動性に及ぼす影響についても検証した。その結果,単元引下げには市場の流動性を高める効果がある,という結果が出た。単元引下げによる流動性の向上は,株式投資単位(金額ベース)が50万円以上の会社に対して,特に効果があった。つまり,証券取引所などが求める「50万円未満」という株式投資単位(金額ベース)の適正水準には,市場の流動性の観点からも意味があるという結果となった。他方,取引規模の大小と単元引下げの効果との間には明確な関係を見出せなかった。

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