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証券経済研究 第49号(2005年3月)
日本国債の格付について
小林和子(当研究所理事・主任研究員)
〔要 旨〕
民間社債の格付の歴史が約100年,分析の経験を蓄積して格付が活用されるようになって30〜40年であるのに対して,国債の格付は1930年代から約70年,注目されるようになったのはようやく1980年代から90年代である。日本国債に関してはさらに遅れて,国内で関心を呼ぶに至ったのは1998年の急激な引下げ以後であろう。
国債格付の目的(不履行リスクの評価,カントリー・シーリングの設定)を肯定すれば,これを不要だとする論者はいないだろう。しかし,それ以外の点では現状の国債格付にはどうにも好意的な評価を与えることができない。国債格付の手法はまだ確立されているとはいえず,格付の性格も寡占的格付会社による非依頼格付で,一方の海外機関投資家の過剰な警戒心理を反映はするが,他方の発行主体である対象国の分析が十分であるとはいえない。このアンバランスは日本国債格付について端的に意見書と回答のやり取りの形で示された。本稿では日本国債論争をめぐる諸研究を踏まえて,国債格付の特殊性を明らかにし,近代日本の国債には形式的にはデフォルトの事例がないことをみる。
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