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証券経済研究 第50号(2005年6月)

国債オペに関する日本とイギリスの比較

代田純(駒澤大学教授・当所客員研究員)
勝田佳裕(駒澤大学大学院博士課程)

〔要 旨〕
 日本では,日本銀行による資金供給オペとしては,長期国債買入オペ,短期国債買入オペ,手形買入オペが中心である。また日本の準備預金制度は「後積み方式」と呼ばれ,ある月の預金平均残高に準備率を乗じた所要準備額を,その月の16日から翌月の15日までの期間に日銀の準備預金に積み増すことが義務づけられている。
 日本の国債保有構造は,公的部門の保有比率が極めて高い,銀行(商業銀行)の保有比率も高い,という特徴を持つ。公的部門の引き受けには,郵貯,日銀,財政融資資金等が寄与している。オペとの関連で,長期国債における日銀保有比率を銘柄別に見ると(日銀ホームページに公表),満期償還が近い銘柄(期近債)で日銀の保有比率が高くなっている。これは,日銀がオペの対象として期近債を選好しているほか,「日銀乗換」により借換え発行が日銀引受で可能になっていること,等々が影響していよう。また日銀保有国債の平均残存期間も短期化している。
 イギリスでは,イングランド銀行による資金供給オペとしては,2週間満期のレポオペ(反対売買を伴う現先取引オペ)が中心である。イギリスの準備預金制度は,日々ベースの最終決済時点で残高がゼロであればよい,という制度である。
 イギリスの国債保有構造は,保険・年金といった機関投資家のシェアーが高い。逆に公的部門や商業銀行のシェアーはほとんどない。国債保有構造におけるイングランド銀行のシェアーも小さく,イングランド銀行の資産に占める国債の比率も30%程度(日本は70%程度)である。
 イギリスと比較すると,国債オペを介して,日本で中央銀行が国債の受け皿となっていることが浮き彫りとなる。

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