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証券経済研究 第69号(2010年3月)
米国のダークプールとその規制について
清水葉子(福井県立大学准教授・当研究所客員研究員)
〔要 旨〕
アメリカでは,透明性の低い「ダークプール(Dark Pools of Liquidity)」と呼ばれる取引の場が拡大している。ダークプールには,気配の開示義務が課されない小規模ATSが運営している等の理由で透明性が低い「新しいダークプール」と,ブローカー・ディーラーの内部付け合せなどのように以前から開示されてこなかった「伝統的ダークプール」が存在する。証券取引委員会(SEC)は,2009年10月に前者の「新しいダークプール」に限定して規制提案を行ったが,後者の扱いは定まっていない。後者は,従来から開示されてこなかった伝統的な市場機能の一部であり,前者と一括して規制することに無理がある。一方で,「伝統的なダークプール」も,アルゴリズムや注文回送システム,執行マネジメント・システムなどで高度に結びつけられ,分散した流動性が瞬時に探索されてマッチングされるようになるなど,テクノロジーの影響を受けて変質しつつある。本論文では,レギュレーションNMS後にアメリカの証券市場が分裂(分散)の度合いを深めていることを示し,その中でダークプールがどのように取引を拡大し,どのような規制が行われたのかを整理するとともに,残された課題を検討する。
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