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証券経済研究 第77号(2012年3月)
ドッド・フランク法のコーポレート・ガバナンス規定
―say on payとproxy accessの法律成立後の動き―
福本葵(帝塚山大学教授・当研究所客員研究員)
〔要 旨〕
金融規制改革法(The Dodd-Frank Wall Street Reform and Consumer Protection Act,以下,ドッド・フランク法)は2010年6月30日,下院本会議で賛成237,反対192で可決し,7月15日には,上院本会議において賛成60,反対39で可決した。これを受け,7月21日,オバマ大統領が署名し,法案成立に至った。その主な内容は金融危機の再発防止を目的としたボルカー・ルールといわれる金融機関に対する監督強化や高リスク取引の制限,住宅ローンや学生ローン等の消費者取引の規制強化である。さらに,ドッド・フランク法には,市場の信頼回復に向けてコーポレート・ガバナンスの改善が不可欠であるとして,消費者保護や投資家保護規定も盛り込まれた。これによって金融機関のみならず,一般の上場会社に対しても,proxy accessやsay on payを適用しようとするものである。ドッド・フランク法には,say on payやクローバック条項など役員の報酬,報酬の開示に関わるもののみならず,proxy accessのように株主が取締役選任につき株主提案を容易にできるように権利を拡大するものも含まれている。
本稿では,ドッド・フランク法にあるコーポレート・ガバナンス規定について,特にsay on payおよびproxy accessについて,法律施行後,どのように推移したのかについて,概観したい。
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