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証券経済研究 第89号(2015年3月)
〈研究ノート〉金融危機・震災・異次元緩和
—国内普通社債の発行市場が受けた影響についての考察—
中塚富士雄((株)格付投資情報センター市場研究室長)
〔要 旨〕
リーマンショック,東日本大震災,デフレ経済からの脱却に向け日本銀行は金融政策のスタンスを大きく変え,異次元緩和にまで踏み込んだ。長短プライムレート(企業向け最優遇貸出金利)の逆転など,社債の発行市場関係者にとって,現状は,かなりの逆風となっている。新発債の発行時利回りの対国債スプレッドの形成では,金利要因の説明力が低下しており,政策的な後押しのもとで低利の貸出を企業に提示する金融機関と競っていくことは容易ではない。また,かつては事実上,日本の社債市場の指標銘柄であった電力債に代わる銘柄群が育っていない点も,円滑なスプレッド形成にとってはマイナス。新たなベンチマークづくりが急がれる。
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