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証券経済研究 第91号(2015年9月)
ドイツ大手銀行の米投資銀行買収と証券引受業務
漆畑春彦(平成国際大学教授)
〔要 旨〕
本誌2015年6月号の拙稿「ドイツ大手銀行の国際投資銀行業務と経営改革」では,米有力投資銀行バンカーストラスト(BT)買収(1998年11月)前後に,ドイツ銀行が国際投資銀行戦略の一環として行った,グループ組織,人材管理・教育,企業文化にわたる行内改革について検討した。一連の改革により同行の業務体制は盤石となり,2000年代半ばには証券引受などで米大手投資銀行に並ぶ実績をあげ,国際投資銀行市場で「リーディング・インベストメントバンク」の1つと評されるようになった。1990年代まで,特に株式引受,ハイイールド債引受,M&A助言業務は米大手投資銀行の牙城であり,ドイツ銀行はいずれにおいても,世界の上位10社には遠く及ばなかった。この状況にドイツ銀行はどう対応し,国際投資銀行市場における地位を築いていったのだろうか。例えば,米大手投資銀行の牙城を切り崩すべく,ドイツ銀行はBTをどのような場面で活用したのか,また上記の行内改革は当該業務における業績向上にいかに寄与したのだろうか。本稿では,株式,ハイイールド債といった証券引受業務に絞り,2000年代半ばにかけて同行が手掛けた代表的な案件への対応を参考としつつ見てみたい。
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