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証券経済研究 第92号(2015年12月)
リキャップCBと市場の評価
志馬祥紀(帝塚山大学准教授・当研究所客員研究員)
〔要 旨〕
近年,我が国上場企業の間で,リキャップCBと呼ばれる転換社債発行と自社株買いを同時に行う財務活動が相次ぎ実施されている。
リキャップCB発行企業については,その株価がリキャップCB発行後に上昇するとの報道も一部雑誌にみられ,投資家からの注目を浴びている。しかし,ファイナンス理論からみれば,一部の発行企業に株価上昇が見られるとしても,全ての企業価値が継続的に拡大するとは言えず,「リキャップCB発行=企業の株価上昇」との考え方には疑問がある。
実証研究の立場からみれば,リキャップCBは自社株買いと公募等による資金調達が同時に実施される,またその手段は株式と債券のハイブリッドである転換社債であるなど,複数の論点を含む興味深い事柄である。
こうした意識を念頭に,以下ではリキャップCBの発行状況を把握し,同発行情報に対する株式市場の評価についての実証分析を行う。
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