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証券経済研究 第97号(2017年3月)

地方債における建設公債の原則の位置付けと健全性に与える影響

浅羽隆史(成蹊大学法学部政治学科教授)

〔要 旨〕
 地方債に対する建設公債の原則の変遷を捉え,その制度上の位置付けを明らかにし,建設公債の原則が地方財政の健全性の確保にどのような影響を有していたかを考察する。
 建設公債の原則は,現在に至るまで地方債発行の中核的な規定として維持されてきた。本来であれば各地方自治体は,建設公債の原則に則り,自律的に地方債の発行の有無やその規模を決めるはずの制度だが,他制度との関わりなどから,各地方自治体の公債発行の自治は,ごく限られた部分にとどまっている。それは,2006年度に地方自治法での許可制が廃止され形式的に自治の余地が拡大した後も,財源措置や健全化判断比率による許可制移行などの仕組みによって実質は変わらない状態が続いており,過剰規制といえる。
 1990年代の財政悪化の要因は,建設公債の原則の枠組みのなかで,起債充当率の引き上げと交付税措置といった国による運用面の問題が原因であった。一方,2000年代以降の地方債発行の特徴は,建設公債の原則の例外である赤字公債の発行増加にある。また,地方財政健全化法の下,同意債による交付税措置が大きく,地方財政全体で見た健全性を歪めている。

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